遊牧写民

心に残った日常を一枚の写真に

もう一度フィルムカメラ ~Rollei 35B~

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FUJI XF10

最後にフィルムカメラで写真を撮ったのは、

3,4年前になる。

 

当時、近所の現像できる店が無くなり、

フィルムカメラを楽しむには

環境的に厳しくなってしまった。

必然的にフィルムを使う機会が減ってしまう。

そうこうしているうちに、

急速に写真に対する興味が薄れてしまった。

デジタルカメラでも撮っていたが、

本流にはならなかった。

 

デジタルは撮っていて、つまらないのだ。

 

シャッターを切った後、

巻き上げレバーを動かしたい。

ファインダー越しにピントを合わせて

浮き上がる美しい世界を切り取りたい。

そして、

どんな風に写っているのか想像しながら

現像が上がるのを待つ、あのドキドキ感。

自分の中で、全てがデジタルに勝っていた。

 

目に突き刺さるかのような

鮮鋭性の高いデジタル写真は、

美しいが自分の心にフィットしない。

その都度確認でき、気に入らなければ消去可能。

だから逆に、達成感が得られない。

 

解像感や鮮鋭性では劣るが、

自分にとって記憶に残る一瞬を切り取るのは

フィルムだった。

しかし、今までのように楽しめない状況の中で、

自分は写真を撮るという行為をやめてしまった。

 

 

今年、コロナ渦で動きが取れなくなった中で、

「もう一度フィルムカメラをやることは

 可能なんだろうか。」

とふと思った。

以前のように

近場ではすでに現像ができる店は無いが、

ネット上で現像を依頼することは可能だった。

フィルムもかなり高くなっていたが、

デジタルほど何枚も撮るものでもない。

 

まだ、やれる。

写真を撮りたい、

という気持ちが久しぶりに湧いてきた。

しかし、全て手放してしまっていたから

手元にはすでに1台もカメラが無かった。

 

それからは、

どんなカメラを使おうか思案をする日々。

 

ああでもない、こうでもないと考えて、

決めたのが Rollei 35Bだった。

 

以前は全く興味を持たなかったが、

コンパクトで、持ち歩くには良さそうだったし、

トリオター40mmF3.5のレンズは

相性が良さそうだった。

なぜなら、

当時は、35mmでもなく、50mmでもなく、

40mmを愛用していたから。

 

それに、ローライ35シリーズの中では

廉価版といわれる35Bだが、

軽いし、セレン式の露出計が見やすそうだった。

これでカメラは決まった。あとは購入だ。

 

後日、

これだ、

と思う物をオークションで競り落とした。

 

数日後、はるばる北海道から届いた35Bは、

新品じゃないか!?

と思うほどの綺麗さを保っていた。

スレも傷も凹みもない。

とても

50年程前のカメラとは思えないコンディション。

再スタートを切るには、完璧じゃあないか。

 

さあ、キミはどんな世界を見せてくれるのかな。

新しい相棒を手にした自分は、

昨日と違う毎日を手にした気分がした。