遊牧写民

ジテンシャ時々フィルムカメラ

ありがとう。

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仕事の関係で

見知らぬ人のために出向いて作業をするということがあった。

暑さが不快だったし、

行ったことも無い家を見つける煩わしさもあった。

自分は正直なところ、

少し面倒臭いと感じながら車を走らせていた。

 

 

このお宅かなあと思いながら玄関で声を掛けると、

自分よりも年配の女性が出てきて、

しきりに感謝してくれた。

仕事の事だったので、逆に申し訳ないくらいだった。

 

作業自体は5分もかからない程度のもので

あっという間に終わった。

すると、終わる頃に御主人がわざわざ出てきてくれて、

「悪かったねえ。これ、せっかくだから持ってって。」

とペットボトルのジュースを差し出してくれた。

 

「いえ、そんな、かえって申し訳ないです。」

と遠慮したのだが、

「いいから、持って行ってよ。」

と言うので、

それじゃあ、せっかくなのでいただきます。ありがとうございます。

と受け取った。

 

 

 

帰りの車中で

あの御夫婦の感謝の言葉が嬉しく、

でも、面倒に思いながら訪問したことを恥じる気持ちもあり、

開けた窓から風を受けながら、

いろんな思いで涙が出そうになった・・・。

 

別にあの御夫婦からしたら、

当たり前のことだったかもしれないし、

客観的に見ても他愛も無い出来事だったと言える。

でも、「ありがとう。」や差し出された一本のジュースが

自分の心に染みてしまった・・・。