以前は、
「あ、キレイだな。」
「光が素敵だな。」
と思えば、何気ない日常の光景を写真にしていた。
それはそれでよかったのだけど、
ともすると、単なる絵葉書的な写真になりがちだった。
そういう写真を撮りためていって、
次第に、
「ああ、人が入っていたほうが良いな。」
と思うようになった。
写真の中に、人がひとり入るだけで、
そこにドラマ性が生まれることに気がついた。
ただ、これがなかなか難しい。
思った位置に、思ったアングルで
見知らぬ人を画面上に配置するのは、
余程計算した上で、その「時」を待たねばならない。
または、
「!」
と思った瞬間にシャッターを切ることができる技量が必要。
あるいは逆に声をかけて、
「その人」の写真を撮る方向性に切り替えるか。
その両方をうまくできるのが
ハービー山口さんだと思う。
ハービーさんの写真は、
よくこんな瞬間を・・・!
と思うものもあれば、
被写体の人物の人柄が
にじみ出てこちらに伝わってくるような写真もある。
そして、殆どが、
その写真を見ているこちらの心が優しくなるような写真ばかり。
また、なんと言ってもプリントのクオリティがめちゃくちゃ高い。
モノクロのトーンがそりゃあもう、美しい。
写真集を見るたびに、いろいろな感動がある。
尊敬する写真家だ。
そんなハービーさんに近づきたくて、
シャッターを押す自分もいる。
及ばないどころか、
そんな大写真家の名前を出すのさえおこがましいのだけど、
自分の中の憧れだ。