遊牧写民

心に残った日常を一枚の写真に

思い出に残る場所②

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Canon A-1 + FD50mm F1.4

写真を撮った時期と現像した時期がずれているので、

しばらく季節外れの写真が続きます。

 

上の写真は

例によってA-1で撮った時に

画面の一部が黒く潰れてしまう事象が発生してしまい、

仕方なくトリミングした物。

くっそー、うまく雰囲気が出た写真だったのになあ・・・。

 

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①の後が続かなかったので②を。

 

ある古い街の雰囲気のある本屋さんに

ぶらりと入ったときのこと。

 

店舗の奥にアクセサリー類を置いてある部屋というのか、空間があって、

「?」

と思い、そこへ足を踏み入れた。

 

 

その決して広くない一部屋の小さな空間で、

シンプルなアクセサリーや置物等を何気なく見ていたのだけど、

顔を上げて窓の方に振り向いた時。

全ての時間がピタッと止まってしまったような感覚に陥った。

 

金縛りに遭ったかのような感覚で部屋を見渡すと、

古い倉のような空間の中で

窓から入る光を浴びて

部屋にある置物たちがシルエットと共にキラキラと輝き、

とても静かで美しく幻想的な雰囲気を生んでいた。

 

ある意味この世の風景とは思えないようなその光景に驚き、

しばらく動けずに、じっと、その美しい光景を眺め続けた。

そして

そこに自分がいて、その光景を眺められていることに歓喜し、

体中の細胞が震えているような・・・そんな感動を覚えた。

 

どれ位そうしていたのか・・・

 

しばらくして奥から来た店員さんが、

「あらあら、いらしてたんですね。」

と言って部屋の電気をつけた瞬間に、

また時が流れ始め、あの静寂はもうそこには無かった。

 

 

多分、今そこへ行っても同じ感覚を持つことは無いだろう。

その時の光の具合、静寂、

そして何よりその時の自分の置かれていた状況や

感情が全て合致してそういう感動を覚えたはずだから。

 

 

思い出すと、あの時感じた幻想的な感覚が蘇る。

そして、

当然、もうあの時は戻ってこないし

2度と同じ体験は出来ないので、

少し寂しさを感じる自分がいる。