遊牧写民

心に残った日常を一枚の写真に

深みを与えるドラマ

 

さわさわの丘にて。

 

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先日見た韓国ドラマが自分的にはとても良かったのでそのことを。

 

 

アマゾンプライムで何か見ようと思って

『もうすぐ死にます』という

全部で8話のドラマを観ることにした。

時間を潰す、くらいの選択だった。

「ふざけた題名だなあ。」とあまり良い印象が無いほどの

選択だったのだ。

 

 

始めの1,2話は物語の設定を理解させる展開だったので、

面白いとかそういう感想は無かった。

なるほどね、って感じで。

 

しかし、徐々に引き込まれていき、

これは最後まで観たい!

いや、観なくては!と思って

結局全8話を一気に観てしまった。

 

・・・気がつけば日が変わっていた笑。

だけど、最後は久しぶりに涙を流しながら観ていた。

 

 

あらすじを簡単に書くと、

一度失敗した就職に再度失敗し、

生活も苦しく住む家も追い出され、

ずっと付き合ってきた恋人とも別れて

ついに生きることに悲観して自殺してしまう主人公。

 

しかし、地獄門の前で主人公を待つ者が。

 

人間の見た目をした「死」が

主人公に罰を与えると言う。

 

これからおまえは他人の体に乗り移り、

12回死ぬことになる。

ただし、その死を回避することもできる。

それは簡単ではなく残酷なものだがその方法は自分で考えよ。

12回死ぬ間にそれができなかったら

本当に地獄行きだ。とのこと。

 

 

主人公はその都度、別の人間の体に乗り移り、

その人の置かれた状況に対応していくが、

結局はその人の状況や

或いは生前の自分との因果関係が元で死んでしまい、

毎回「死」の待つ地獄門の前に戻ってきてしまう。

そして「死」によってまた別の人間の体へと送り込まれる。

 

(場面によって結構残酷なシーンも多々あり、

 観る人によっては引いてしまう所もあるかもしれないが、

 それによってストーリーの説得力が増しているとも言えるだろう。)

 

始めは現世に戻ることすら拒否していた主人公だったが、

波乱に富んだ他人の人生を歩み

少しずつ、他人の生と死を通して

自分の自殺が間違いだったことに気づいていく。

 

 

 

このドラマを見ると、

自分の「死」というものが

(裏を返せば「生」というものが)

決して自分だけのものではないことがよくわかる。

 

恋人にとっての自分の「死」、

家族にとっての自分の「死」、

そして、残された母にとっての自分の「死」・・・。

 

 

アクションや恋愛も時々織り込みながら、

天敵との対決をクライマックスに迎え、

最後は静かにエンディングへ。

結局、主人公はどうするのか・・・?

という一点に観る者の感心が焦点化される。

 

 

見終わったときに

自分の中の「生」や「死」の見方に深みが生まれたと思う。

なかなかこういう風に感じさせるものは無い。

(単に観ないだけかもしれないが)

なので、偶然とはいえ観ることができて本当に良かった。

なので、

一度観た映画やドラマを再度観ることは普段無いのだけど、

また観てみたいと思っている。

 

そしてこのドラマが秀逸なのは、

関係性が無いと思われたそれぞれの人たちの人生が、

実は主人公に深く関わっていたりして

伏線回収というのか、

ここへ繋がってたの!?と驚かされる。

 

 

そして俳優陣の演技が素晴らしい。

後で知ったが今の韓国ドラマ界における名優達が

大勢出演しているらしい。

一人も知らなかったけれど、確かに納得した。

特に主人公役の俳優さんは、

よくこんなに毎回毎回泣く演技をやれるなあと思ったくらい。

だが、それが本当に主人公の苦悩や悲しみが伝わってくるもので

主人公になりきっていた。

凄いなあ・・・。

 

何度か涙を流して見終わった後に

自分の中に浮かんだ言葉は

「天寿を全うする」

という言葉。

「天から授かった命を全て使い切る」。

自分が授かったこの命をどう使い切るのか、

つい考えてしまった。

 

 

 

見終わったあとは、

静かに、深く・・・

満足するドラマだった。